闇にまぎれた蛍








私は奏のところに早く行きたいから、出来るだけ下手に出て聞いてみた








「えっと……俺もう奏のとこ行くんで………」


「そう?じゃあ蒼牙くんに伝えて。……放課後婚約者が会いに行くって♪」








その言葉を聞いた途端、私は周りの時間すべてが止まったような気がした





「……えっ?」


「じゃあよろしくね。明賀くん♪」








私の困惑した声に気付かないのか、零垣雪はそのまま進んで行った








婚約者はいない







そういったじゃない……奏………







それは……嘘だったの………?






それとも……零垣雪の嘘………?








……わからない。考えても考えてもわけがわからない








……とりあえず奏の所に行こう。それで奏に直接聞こう。うん。それが一番いい






そう決めた私は学園に向かって走り出した







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