闇にまぎれた蛍
私はその名を聞いた途端、昨日晴十から聞いたことを思い出した
……篠陰…もうこんな所まで近付いてきている………
私は頭でごちゃごちゃ考えながら、目線だけはヴァンパイアから離さなかった
それを見たヴァンパイアは続けるように話し始めた
「……篠陰が何を企んでいるなんてことはわからねぇけど、今、奴等は俺達下っ端を使って血を集めている」
「血を……集めている……?」
「あぁ……」
ヴァンパイアはスッと胸ポケットからビンを取り出した
……その中には…赤黒く光る……血が入っていた
私は一瞬昔のことがフラッシュバックしそうになったけど、なんとか持ち堪えた
ヴァンパイアはそのビンを揺らしながら続けた
「……このビンには特殊な術が仕掛けてあるみたいでな、二、三日前の血でもそのまま首から抜き取ったような新鮮さを保てるようになってんだ」