闇にまぎれた蛍
「えっ……」
「……俺達は許されない恋人なんだ……彼女は…人間だったから……」
そう言ってポケットから手帳を取り出した
「……この中に彼女のことが書いてある。これを使って彼女にあってそのペンダントを………渡して欲しい…」
私はその手帳をおそるおそる手に取った
それを見てヴァンパイアは穏やかに……でも悲しそうに笑った
「……俺は馬鹿だった…彼女を愛していたのに……篠陰なんてわけのわからない力に頼ろうとして………」
「………」
「……今さら…大事なことに気付くなんてな………」
ぐっと拳を力の限り握り締めているヴァンパイア
私はそっと‘彼’の拳に手を添えた
「………?」
「……このペンダントは必ず貴方の恋人に渡します。だから……安心してください」
そう言って私はニッコリと笑った