闇にまぎれた蛍








それを見た彼は驚いた顔をしたけど、すぐに穏やかな笑みを見せてくれた






「……ありがとう…」









私達は少しの間そのまま笑っていたけれど、私はスッと立ち上がった







「………」


「………」


「……本当に…いいのですか?」


「ああ……殺ってくれ」







恐怖なんてない。死を受け入れた顔で私を見る彼






「……わかりました」







私は胸の前で十字架をつくり、あらためてその手で銃を握った








「さようなら吸血鬼。今度は貴方に幸せな未来を……そして…生まれ変わった彼女と幸せに…」







パン






ゆっくりと彼は倒れていった。そして……砂となり………消えた






彼が消える前に言った言葉が私の耳に響いた







『ほんとにおまえはハンターに向いてないな。……ありがとう』







……私…お礼を言われるようなこと…してないよ………









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