闇にまぎれた蛍








私は口元が緩むのを感じながら、晃に言った







「わかってる。晃こそむちゃしないようにね」


「はい。わかりました」







マジな声から緩やかな声に戻った





……やっぱ、晃は緩やかな声のほうが似合うし、好きだな







「では、私はこれから仕事なので」


「うん、気をつけてね」


「はい」








ピッと切って私はまたベッドに寝転んだ






晃はたまに電話をくれる。その内容は真剣なものもあれば、他愛のないものもある






でも、どんな話でも、晃は必ず私を心配してくれる








…今……私を心配してくれる家族はいないから………







だから、晃の優しさがすごく嬉しい






……と、晃の優しさに浸ってる場合じゃない







私はムクッとベッドから起き上がって資料室に向かった






理由は一つ。彼が言っていたことを調べるため







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