線香花火が、長く、続くように
──バカみたい、私。
人混みの流れに乗って進みながら、思い切って告白したことを後悔していた。
自分の立ち位置を見誤ったのかもしれない。
普段からよく声をかけてくれていたことも、
展示会で話しかけてくれたことも、
屋台を2人で回ろうと言ってくれたことも、
杏奈の横顔を写真に撮って「可愛い」と言ってくれたことも、
それらは全部、杏奈を1人の後輩として、接してくれていたからこそのもの。
そこに、好意なんてなかったのだ。
お祭りの会場から出て、駅へ向かう途中、
後ろから、ドーン!という打上げ花火の音が聞こえた。
思わず振り向くと、木々の上から、打上げ花火の上半分が見えた。
──打上げ花火…。センパイと、見たかったな。
しばらく眺めていると、1段と高く打ち上げられた花火が、木々のはるか上を越えて、夜空を彩った。
金色の大きな花火。
暗い夜空に、一気に金色の光が広がった後、
枝垂れ柳のように何本もの曲線を描き出し、
キラキラとした光を放ちながら散っていった。
その花火を見つめる杏奈の目からは、
花火の光を受けた涙が、キラキラと溢れ落ちた。