線香花火が、長く、続くように
最後に全員で片付けを済ませた後は、花火をした。
各々、好きなタイミングで
花火が並べられているスペースを訪れ、好きな花火を手に取って行く。
杏奈もそのスペースの前に立ち、どの花火をしようかと悩んでいた。
買い出し係のメンバーと話し、部費と参加費を奮発して、色んな種類の花火を取り揃えたので、目移りしてしまう。
部員の誰かが打ち上げるタイプの花火を使ったようで、
杏奈の後方では、部員達が打ち上がる花火を見て盛り上がっている。
そんな中、杏奈は幾種類もの花火の中から、線香花火を選んで手にした。
「俺も線香花火にしよ。」
杏奈の横で、おなじく手を伸ばして線香花火を手に取ったのは──
「山下センパイ…」
まさか和輝が話しかけてくるとは思わず、少し驚いた。
「よかったら、あっちで一緒に線香花火しよ。他にも何本か持ってくか。」
そう言って、和輝が手持ち花火を数本取った後、皆から離れた場所に2人で移動した。