線香花火が、長く、続くように
「今日、久しぶりに会って、改めて思ったよ。
俺、立花のことが好きだ。
遠距離になるけど、もし、立花がそれでもいいって思ってくれるなら…俺と、付き合って欲しいです。
寂しい思いさせないように、俺、頑張るから。」
真剣な表情のまま、杏奈の返事を待つ和輝。
杏奈の答えは…
「…よろしくお願いします。」
「え!?」
和輝の顔が一気に明るくなった。
喜んでいるのが、その表情から分かる。
杏奈も、少しはにかみながら和輝を見つめた。
「マジ?いいの?」
コク、と杏奈が頷いた途端、和輝が杏奈の手を取って引き寄せた。
初めて会った時にも香った、あのデオドラントの香りがして、杏奈の心拍数は一気に上がった。
「ありがとう。…立花のこと、大事にするから。」
「私の方こそ、ありがとうございます。嬉しい…です。」
2人は抱きしめ合ったまま、彼氏彼女になれたことの喜びを噛み締めた。
しばらくして、どちらからともなく、腕を緩めて体を離した。
ふふっ、と微笑みあった後「残りの線香花火やってから、皆のとこに戻るか」と和輝が言った。
「ですね。そうしましょう。」
「あと1本ずつだな。はい、どーぞ。」
和輝から渡された線香花火を「ありがとうございます」と言って受け取った後、杏奈が呟いた。