線香花火が、長く、続くように
「さっき、センパイの線香花火の方が長もちしてましたね。次は、私のも長くもつといいなぁ。」
「あー、もう少し端の方を持つといいかも。」
「端?」
「ほら、持ち手になってるこのヒラヒラの部分。
さっき、立花はヒラヒラの根元近くを持ってただろ?火花が散る時の揺れを吸収させる方が火種が落ちずに長く楽しめるらしいから、もっと端側を持つといいかも。
俺はさっきそうしてたよ。」
「そうなんですね!やってみます。」
「逆に、俺は根元側を持ってみるから、どのくらい時間差があるか、実験してみるか。」
「いいですね!」
そう話しながら、2人同時にろうそくで線香花火に火をつける。
そして、ろうそくで線香花火の先端に火が着いたのを確認し、ろうそくの炎から離した瞬間──
「「あ。」」
和輝の線香花火の火種が、地面に落ちた。
「えぇえ?流石に早すぎだろ!なぁ?」
ショックを受けて、同意を求めた和輝の目線の先では、杏奈が声を抑えながら肩を震わせて笑っていた。
「ちょ、立花!笑い過ぎだから。」
そうツッコまれた杏奈は、未だに肩を震わせながら「いや…あの…ふふっ」と笑っている。
すると。