線香花火が、長く、続くように
あの時の和輝の顔を思い出して、急に、和輝と話したくなった。
スマホのロックを解除し、和輝とのトーク画面を開く。
『こんにちは。写真、届きました!メッセージも、ありがとう。』
メッセージは未読。
構わず、またメッセージを送る。
『私も、ずっと一緒にいたいと思ってるよ。
こちらこそ、これからもよろしくね。』
最後、恥ずかしいと思いながらも、メッセージをまた打ち込んだ。
『かずくん、大好きです』
その文字が送信されて画面に出てきた瞬間、メッセージに一気に既読がついた。
そして…なんと、電話がかかってきた。
急に気恥ずかしくなりながらも、慌てて電話に出る。
『杏奈!不意打ちすぎって!』
電話が繋がるなり、和輝が笑いながらそう言った。
「ごめんね、なんか、言いたくなっちゃって…」
『もー、しかも初めての名前呼びだし…。でも、こういうことは直接言えよー。』
「は、恥ずかしくて直接なんて言えませんっ…!」
『照れるなよー。ほら、今、言っていいよ。』
「写真、ありがとね。」
『違う違う!そのあとの方の…』
「これからも一緒にいたいです。」
『…うん。それも嬉しい。嬉しいけど!』
「…なんだっけ。」
『おい!』
そうツッコみながら笑う和輝。
遠距離恋愛しているとは思えない程、距離感を感じさせないやり取りが嬉しかった。
『今度会った時に絶対言わせるから、覚えとけよー?』
悔しそうに、でも楽しそうな口調で和輝がそう言った。
和輝との会話が楽しくて、自然と笑い声を上げる杏奈。
──かずくんと過ごす時間が、これからも、長く続いていきますように。
線香花火を持って笑う自分の写真を眺めながら、杏奈はそう願った。
fin.