線香花火が、長く、続くように


和輝と初めて会ったあの日。

杏奈の目に留まった、あの職人の写真が『硝子職人』というタイトルで展示されていた。


その作品の上に掲げてあるゴールドのフレームの札には『審査員特別賞』と書かれている。


誰の作品か確認しようと、作品の下に貼られている受賞者の名前を見てみると。


──え!?


そこには『山下和輝』の名前が。



「あ、気付いた?」


展示会内の静けさに合わせ、
ボリュームを抑えた、小さな声で後ろから声をかけられた。

振り向くと、和輝がすぐ近くに立っていた。

杏奈は驚きを隠せないまま、和輝と同じくらいの小さめの声で話し掛ける。


「センパイ…!この写真、センパイが撮った写真だったんですか!?」


「そうだよ」


「な…!あの時、いかにも他の人が撮った写真ですって感じの返しだったのに!」


「あれだけ褒められた後、流石に、俺が撮ったって言えないでしょ。」


クスクスと笑いながら、和輝が言葉を返す。


──た、確かに、だいぶ熱く語っちゃったもんな…。


恥ずかし、と思って少し俯いていると、
和輝が歩み寄ってきて、
ちょうど杏奈と横並びになる形で作品の前に立った。

目の前に飾ってある自分の作品を見つめながら、和輝が口を開く。

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