初恋の始め方
「つーか、自己紹介聞いてなかったでしょ?俺、高瀬輝。よろしく」
「え、あ、よ、よろしく……」
至極、当然とばかりににこにこと明るくよろしくしようとする彼に、どうしたらいいのか分からなくて私は消え入りそうな声で返事をする。
(どうしよう……)
男の子は苦手だ。
いや、だからといって女の子なら良いわけではなく、男の子も女の子も苦手だし、なんなら人が苦手と言った方がいいのかもしれない。
よく見ると彼――高瀬くんは整った顔立ちをしていて、短く揃えられた黒い髪は男の子のわりにさらさらと柔らかそう。
座っているから分かりづらいけれど、背も高くて、いかにもモテそう、といった雰囲気の人だった。
正直、一番関わりたくない人種。
「小峰さんって、大人しい人なの?」
「えっ?あ……」
「人見知りとか?」
「……あ、うん」
「そうなんだ」