初恋の始め方



明るく言いきるつもりが、思ったより弱々しく聞こえた自分の声に驚いた。

あい子はそれに相槌を打つだけ。


それっきり、私たちは口を閉ざして歩く。


私のせいであい子にも気を遣わせてしまっている。

申し訳なさを感じつつも、今の私にはそれが優しくてありがたかった。


敷地に沿って並ぶ桜の木から、まだ少し残っていた花びらが。

はらはら、と舞い散る。



「ま、私もいるし。大丈夫だよ」


ぐ、と力強い笑みをくれるあい子。

「ね!」と、いつも太陽のように私を導いてくれる彼女に、私も同じように笑みを返した。


「うん。ありがと」


不安は尽きないけれど、いつまでもあい子に心配をかけて、頼っているばかりじゃダメだ。

私も強くならなくちゃ。


顔を上げると、キラキラと輝く太陽と、青く広がる空が背中を押してくれているような気がした。



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