初恋の始め方



「ちょっとー!私、ついでみたいじゃん」


高瀬くんの言葉を拾ったあい子が、私の机に手を突いて私を庇うように身を乗り出した。


「え、そんなことないって」

「そーお?まぁ、おはよう」

「なんだ、それ」


軽口で自然に話の中心を攫う。

それに内心、助かったと思った。

いつもさり気なく私を助けてくれるあい子には、感謝してもしきれない。


(ありがとう、あい子)


私から逸れた会話に、ほっと胸を撫で下ろす。


「あーきーら!」


けれど一難去ってまた一難。

その声に視線を向ければ、高瀬くんの隣には見覚えのない男の子。


「なんだよ!早速、美女2人とお友達かよ?」


高瀬くんの声に反射的に私たちを視界に捉え、なぜか固まってしまっていた彼の友達は、我に返ると今度はにやにやと好奇と喜色の混じった瞳を光らせる。

その様子に不快感が募る。


それにあい子はともかく、私は美女じゃないし。

お調子者のリップサービスなのか。



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