初恋の始め方



「はーい、では廊下側の席から順番に座ってくださいね」



校舎内を案内され教室に辿り着けば、前方からは私たちのクラス担任の女性教師の声。

それを合図に、先頭から自分の席を探して着席していく。


「やった、後ろだ!ラッキーだね」


自分の席を見つけ、幼い子供のように無邪気な笑顔を見せるあい子に、また少し緊張が解れた私は笑みとともにこくり、と小さく頷く。


私が一番後ろの席で、あい子がその前。

同じクラスになれば出席番号はいつも隣。

それが私たちにとって当たり前だった。


そしてそのたびに、私たちは仲良くなっていったのだ。



「席に着いたら静かにしてくださいね!前を向いてくださーい」


担任の一声で、ざわざわと喧騒に包まれていた教室が一様に静かになる。


「あ、じゃあまたあとでね」


こそっと囁くあい子に、私は同意の意味を込めてまたひとつ頷いた。



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