花火に目がくらんでオチテいく

トワside

トワside


好きになった理由なんて必要ある?

入学式で彼女の姿を見て、身体中の血が沸騰する感覚に陥った。目が合った。反らせなかった。あちらが先に反らした。僕はずっとずっと姿を追い続けた。


誰がなんと言おうとあんずちゃんは今まで出会ってきた女の子の中で、一番かわいい。そして性格も申し分のない完璧な存在。


あんずちゃんの悪口を言うクズたちには、男女関係なく消すと脅した。彼女を傷つける奴は絶対に許さない。


最初は警戒していたあんずちゃんも徐々に僕に心を開いてくれて、告白を受け入れてくれた時は嬉しすぎて生まれて初めて舞い上がるという経験をした。


初めて人を好きになった。
初めて嫉妬という感情を知った。
初めて耐え難い苦しみもあるんだと知った。


苦しいのは誰だってイヤだよね? 彼氏の僕のお願いなら聞いてくれるはず。あんずちゃんも僕と二人きりがいいよね?


でも違った。あんずちゃんは束縛されるのが不満みたい。でもまさか“別れたい”と思うまでに追い込んでいたなんて。ごめんね。うまく説得できなかった僕が悪い。


だからね、演技した。あんずちゃんは優しいから泣いている僕をつきはなせないって思ったのに。

僕の思考を読んで、毅然とした態度で言い返してきた。また惚れ直したよ。僕をこんなに理解してくれているのはあんずちゃんだけ。僕たちは別れるべきじゃない。別れるなんて選択肢はないんだ。


心苦しかったけど、ちょっとだけ意地悪をした。だって僕のこと、好きじゃないって言いかけたから。あんずちゃんの口を掌で覆った。そんな言葉は嘘でも聞きたくない。


「初めては無理やりしたくない。優しくしたいんだ」


この言葉の意図に気付いて泣き出すあんずちゃん。ああ、ごめんね。そんな顔を見たいわけじゃないんだ。あんずちゃんにはずっと笑っていてほしいのに。


惚れた弱みだよね。今すぐに涙を止めてほしくて、仲直りのキスをした。


小さな唇に何度も。舌を入れてくちゅくちゅと舐め回す。ああ、かわいいね。何回もしているキスにまだ慣れずに僕にされるがまま。耳まで赤くしてかわいい。ゆっくり優しいキスから噛みつくような激しいキスも。一生懸命、受け入れようとほんのりピンクになった頬に小さく聞こえる吐息と艶っぽい声。


もっとしたい。早くすべてを自分のものだけにしたい。でもキスだけ。あんずちゃんは恥ずかしがりやさんだから。だから許されたキスだけを長く時間をかけて大切な時間を堪能する。


ああ、まただ。あんずちゃんは気持ちよくなると、僕に腰を押し付けてくる。まるで僕を誘うかのように。無意識でやっているのは分かっているんだよ。分かっているけどさ。耐えるの大変なんだから。


あんずちゃんは何も知らない純粋無垢な女の子。だからこそ快楽に弱く、流されやすい。


まずは別れたいという考えを改めてもらわなくちゃ。だから今まで我慢していたキスの先に進んだ。


思った通り。あんずちゃんは初めて与えられる快楽にのまれた。耳舐めの段階でもう頭は惚けて、何度も僕の名前を呼ぶ。


ただでさえ、我慢しているというのに。これ以上、煽られたら先走りそうで。僕は必死で理性と戦う。


あんずちゃんから。
あんずちゃんの口から。
あんずちゃんの意志で。


僕を求めてもらわなくちゃ、この現状は打開できない。


舐めて、吸って、噛んで、入れて、抜いて、また舐めて。


ずっと続けていたい。僕の舌と指であんずちゃんを気持ちよくしたい。普段はかわいいのに、今は色香を増した少女。どこもかしこもどろどろに溶けたキャンディのように甘い。すごい中毒になりそう。


「あんずちゃん、痛くないようにたくさん濡らしたけど。どうする?」

「トワくん、早く……」

「あー……かわいいね。避妊するから待って。痛かったら言ってね。ゆっくり時間かけてしようね」



ーーやっと僕に“オチタ”。



充分濡れていても、女の子側は初めては痛いと聞く。親指をくわえさせて、痛い時は噛んでと伝えた。


僕も一緒に痛みも味わうからね。


僕の指を噛まないように必死で力を抜いて、受け入れてくれる。なんて健気なんだろう。ゆっくり、ゆっくり。少しずつ挿入した時に、少しだけキリッと親指に痛みが走る。


「大丈夫? 痛いね。苦しいよね」

「ごめ……」

「謝らないで。大丈夫だよ」


親指を抜いて、あんずちゃんの唇に僕の鎖骨が当たるように覆い被さる。


「痛かったら今度は鎖骨を噛んでね」


うん。この体勢ならあんずちゃんと肌が触れあう面積が広い。安心感を与えたいんだ。耳舐めして、好きだと囁いてゆっくりと動くと、スムーズに挿入された。


ああ、やっと“ひとつ”になれた。


「大丈夫?」

「ん……気持ちい……っ」


すぐに抜いてもよかったけど、僕を求めてくれている。慎重にあんずちゃんが気持ちがいいと思う程度に律動する。


あんずちゃんの中に僕の一部が入っている。幸せで溶けそうだ。あんずちゃんがガクガクと震えた時にゆっくり抜いた。


よく頑張ったねと頭を撫でた。僕の欲よりあんずちゃんの体のほうが大事。


後から気づいたけど、僕の鎖骨にキスマークがついていた。あんずちゃんがつけてくれた赤い華。それだけで達しそうだ。


あんずちゃんは快楽から目を覚ますと、自己嫌悪に陥って何も話さなくなった。快楽に溺れてセックスをしたことを恥ずかしがっている。


僕たちはまだ別れていないし、恋人なんだから自己嫌悪になることないのに。


君の苦しみが紛れるなら、僕が犠牲になってもいい。犯罪者にだって。そう伝えると、あんずちゃんの瞳に光が戻る。


「トワくん、好き」


体だけでなく、心まで僕に“オチタ”瞬間だった。



大学生になったら、マンションに一緒に住もうね。もちろんあんずちゃんは家にずっといること。どこにも出かけちゃダメ。僕以外の人間をその目にうつしちゃダメ。


今日お世話したみたいに、髪だって洗ってあげるし、ご飯も食べさせてあげる。なーんにもしないでいいんだよ? たくさん尽くして、一生愛でるよ。楽しみだね。


END
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