花火に目がくらんでオチテいく



クーラーのきいた私の部屋。ベッドに座る私の横にピッタリとくっついて座るトワくん。


「あんずちゃん、ぎゅーしよ」


私の返事も待たずに私の体を抱き締める。優しくない。痛いくらい強く。



「溶けてひとつになりたいな。そしたらずっとずーっとあんずちゃんと一緒にいられる」



これ以上、一緒にいる時間を増やされるのはメンタル的にキツイ。



「どうして黙ってるの? 何か喋ってよー声が聞きたい。ずっと聞いていたい」



息苦しい。
胸がモヤモヤする。
一人になりたい。



「なんで私のことこんなに好きでいてくれるの?」

「今さら聞いちゃう? 一目惚れだよ」



毎回、こればっかり。私よりかわいい女の子はたくさんいるじゃない。

思わずため息をつくと、トワくんが私の顔をのぞきこんだ。



「何かイヤなことあった? 誰かに何かされた?」



一秒前までニコニコしていたのに、目が笑ってない。こういう時のトワくんは話し方も別人のように変わる。
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