花火に目がくらんでオチテいく
「されてないよ」

「本当に?」

「本当だよ。だって、一目惚れなんて納得できないよ。トワくんはかっこよくて人気があるのに。なんで私なんかに」

「“なんか”って言ったー。あんずちゃん本人でも許さないよー。あんずちゃんの悪口。

初めてかわいいと思った女の子があんずちゃんなんだもん。優しいし、自分の考えもしっかり持ってるところも好きだよー。

意見が合わない時でも、僕が説明したらちゃんと分かってくれるところも全部全部だーい好き」





ちゃんと分かっているわけじゃない。意見が合わない時は、うまく言いくるめられているだけ。



「不安にさせてる? 僕の想いが信じられない?」

「ううん。そんなことない」



うまく笑えてる?

私は今日の花火大会に行った後、彼に別れを告げることに決めていた。

夏休み前にトワくんの提案で、遊ぶ約束をたくさんした。スケジュールがトワくんだけでうまっていった。


花火大会が“最後の約束”だから。

約束を守ってから。

私の思いを本気で伝えて。

さようならをしっかりしようと思ったのに。






「あんずちゃん、嘘ついてる」

「え?」
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