花火に目がくらんでオチテいく
今度はうまく笑えなかった。もともと私の気持ちを見透かすことができる人だ。

私の少しの苛立ちや不満には流してくれていたんだと思う。でも、別れを決心している私に対しては流すことは許されなかった。

蛇に睨まれた蛙のように動けなくて。ごまかす言葉を探していると。

チュッと唇にキスをされた。

初めてのキスじゃないのに身構えてしまう。



「口、開けて。力抜いて楽にして」



言われるまま、少しだけ口を開けるとトワくんの舌が私の口内に入ってくる。

左右に動かされる舌。私の舌も勝手に動いて絡められて。ジュッと吸われると思わず声が出る。

その声に欲情したのか、キスをしたまま、ベッドに押し倒される。


「えっろ……」

「トワくん、待って」


これ以上はまだ未経験。私が恥ずかしいからもう少し待ってほしいとお願いしていたから。彼はすごく我慢してくれていた。


「大丈夫。キスだけ。たくさんしよう」


目の前のキレイな顔。その顔が妖艶に舌を出して自分の唇を舐める。
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