彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません
どうしましょう
「ひより!おはよ!どうだったの!?記念日は!」
次の日の朝、パソコンで患者さんの情報収集をしていると、悪気のない恵理ちゃんが目をキラキラさせながら私の隣に座った。
その期待を裏切る形になってしまい、なんだか申し訳なくなる。
「それが・・・・・・、振られちゃったの」
「え?嘘でしょ・・・・・・?え!?」
恵理ちゃんのリアクションは思った以上に大きかった。
「なんかあったのか?」
恵理ちゃんのリアクションに反応してやって来たのは、これまた同期で大学生の時から仲の良いしげぴーこと重田裕人(しげたひろと)。彼とは恵理ちゃんよりも古い付き合いだ。
「ビックニュースよ、おしげ。ひよりがフリーになっちゃったの」
隠すつもりもないから、全然言ってくれても構わないのだけど、周りに気を遣わせるのだけは嫌だからなるべく控えめにして欲しいなぁなんて思いながら苦笑いを浮かべた。
「は・・・・・・マジか」
しげぴーも、驚いているようだ。
「ちょっと・・・ホントに私受け入れられないんだけど。・・・・・・よし、今日は飲みに行くよ!二人とも!だから定時ピタでよろしく!」
そう言って恵理ちゃんはまだブツブツ言いながら情報収集を再開した。
「大丈夫か?吉岡」
反対隣りに座ったしげぴーが、電子カルテにパスワードを打ち込みながらこっそりと声を掛けてきた。
「うん。大丈夫だよ。ありがとね、しげぴー」
「・・・・・・。無理するなよ?」
「うん」
しげぴーの優しさには学生時代から何度となく救われてきた。こんなに気遣いができて、イケメンな部類なのになんで彼女がいないんだろ?といつも不思議に思う。
もし、私が誰かに男の人紹介してと頼まれたら、真っ先にしげぴーを推すだろう。
しげぴーからしたらいい迷惑かもしれないけれど。