彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません
「吉岡、送るよ」
「え、大丈夫だよ。まだ人通り多いし」
「遠慮すんなって」
「あ・・・うん、ありがとう」
店を出て、二次会には行かず帰ることになった私にしげぴーが声を掛けてくれた。
「えーー先生も来てくださいよぉ!」
「まだ飲みましょうよぉ〜」
お酒も入ってなんだか可愛い恵理ちゃんたち3人が瀬名先生を二次会に誘っている。
「ごめんごめん、ちょっとこのあと用事があってね・・・・・・あ、病院からだ。ごめん、じゃ、また」
先生は片手を上げると、スマホを耳に当てながら歩道の端へと移動していってしまった。
「あれ、病院からかね?好きな人じゃない?」
「いいなぁー、先生みたいなひとにずっと想われてるとか」
「仕方ないから私たちだけで行きますか!カラオケ!」
「じゃあねっひより、おしげ!」
そう言って可愛い酔っぱらい3人は夜の街へと消えて行った。
「俺らも行くか」
「うん」
しげぴーの隣に並んで3人とは逆方向に歩き出す。
チラッとまだ電話をしている先生を見ると、パチッと視線が合った。まさかこっちを見ているとは思わなかったからちょっとびっくりしたけど、とりあえず会釈して帰路へと向き直った。
「楽しかったか?今日」
「うんっ、みんなの優しさが身に沁みたよ。ほんとに素敵な友達に恵まれて幸せ」
「そっか、そりゃよかった」
「しげぴーもいつもありがとね」
「いや、俺は何もしてねーけど・・・・・・、あのさ、吉岡」
「ん?」
しげぴーが立ち止まり、ちょっと緊張の混じった真剣な顔をして私の方を向いた。
しげぴーが口を開きかけたその時、
「吉岡さん!」