彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません
急に呼ばれた自分の名前に驚いて、しげぴーとほぼ同時に声の方へと顔を向けた。
「先生っ・・・、どうしたんですか?」
声の主は駆け足でこっちへ向かって来ている瀬名先生だった。
チッと隣でしげぴーが舌打ちをしたのがわかった。よっぽど先生のことが嫌いらしい。
「あのさ、このあいだの話だけど、」
先生がちょっと息を切らしながら続ける。
「今度の日曜でどうかな?」
今度の日曜・・・・・・って、これ、言ってたデートのこと?でも先生、なんで今なの?わざわざ追いかけてくれてまで・・・・・・どうしよう・・・・・・しげぴーもいるのに。
私が答えあぐねていると、また先生が口を開いた。
「ごめん、急に。シフトも見ないとわかんないよね。じゃあ返事は、また連絡して」
「っおい、どういうつもりだよ」
私が返事をする前に、しげぴーが怒り口調で先生に問いかけた。
先生に対してのしげぴーの態度にサーッと血の気が引いていく。
おいって・・・いくらなんでも先生対して・・・そんな口の聞き方はっ・・・!
「・・・・・・君には、関係のない話だよ」
「お前っ、また吉岡にっ」
「しげぴー!ちょっと!どうしたの!?落ち着いて・・・」
先生に掴み掛かろうとしたしげぴーの腕を押さえてなんとか引き留めることに成功した。
「吉岡、ごめん。でも俺、どうしてもこいつに言いたいことがある」
「じゃあ、その話は今度ゆっくり二人でしようか」
二人の間にただならぬ緊張感が走っている。
「あの・・・」