彼女はしっかりもの
トワコ
3人とも入学時は、学部を卒業後は就職するつもりだっだ。
しかしミキは20歳のときにカズヤの子供を流産した経験から、「またあんなことになったら怖いから」と、卒業後はすぐ結婚して専業主婦になりたいと、就活体制に入る直前に言い出した。
しかし、これにも裏があった。
当時ミキの生理が極端に遅れたことは事実だったが、実は妊娠はしていなかった。
するとカズヤは「学校を辞めて働く」と言い出した。
そこでミキがあわてて真相を打ち明けようとしたが、ふと思い立ち、「私のためにそんなことをするのはやめて」と泣いて、1カ月ほどの冷却期間を意識的に取った後、「実は流産した。その処置と休養のために長い間会えなくてごめんなさい」と、健気に謝った。
カズヤにはそのとき、ミキをきちんと幸せにしなければいけないという義務感が湧いたようだ。
そうして2人は卒業後に結婚した。
カズヤが地元で就職してくれれば、トワコは「少し遠くの友人たちの幸せ」を心穏やかに祈れたのだが、2人は新生活をトワコが大学時代からいる街で始めた。
この先は、再び「推して知るべし」である。
甘え上手で調子のいいミキは、「トワちゃんがいれば心強い」と、トワコの手を取って喜び、カズヤにも「ミキの支えになってほしい」と頼まれた。
トワコは失恋以来、少し自分の殻に閉じこもりがちになってはいたものの、「ひとりの生活を楽しむ喜び」を知りつつあったので、正直言って2人の接近には戸惑った。
が、甘えん坊のミキや気弱なカズヤのことが確かに心配でもある。
これはこれでよかったのだと、高校時代とは違った形での「友人関係」を再開することにした。
※ミモザの花言葉は「友情」