お医者様になった幼馴染に強引にプロポーズされた件
 桜にはまだ少し早い春の夜のことだった。

「結婚しよう」
 言われて、私は差し出された花束を見る。

「花束でプロポーズは定型すぎて嫌だったか?」
 私は慌てて首をふる。

「なら、OKなんだな」
「なんでそうなるのよ」

 私は反論して、目の前の男性……幼馴染を見る。
 彼は自信ありげににやりと笑った。






 幼馴染の彼は子供の頃からイケメンだった。

 私は見慣れてしまったおかげで、男の基準が彼になってしまい、なかなか恋をすることができなくなってしまった。

 だって、イケメンな上に優しいんだよ?

 自分より私を優先してくれて、彼を好きな人たちからは嫉妬の目でにらまれた。もちろん嫌がらせも多数。

 結婚して、とは子供の頃から言われていた。いつから言い出したのかは覚えてない。

 幼稚園の頃は、いいよ! なんて無邪気に気軽に答えていたけど、小学生にもなると、うんざりしてきた。

 だから私は答えを変えた。
「お医者さんになったらね」

 彼は驚いたあと、決意とともに答えた。

「絶対に医者になるから」
 彼はそれから猛勉強を始めた。
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