疎まれ王女は愛されたい

第2話 近衞騎士

翌日の昼頃に離宮に来た騎士のアランは、離宮の応接室に招かれていた。

「レティシア王女殿下、こちらに来るのが遅くなってしまい大変申し訳ありません」

 応接室に入るなり、アランは頭を下げて謝罪の言葉をレティシアに投げてくる。

「いいのよ、まあ、取り敢えず座って?」

 レティシアはそんなアランを見て、優しい笑みを浮かべる。そしてアランにレティシアの目の前にソファに座るよう促すが、アランは首を横に振って申し訳なさそうに返答する。

「それは出来かねます……」
「そう、では場所を変えようかしらね。ついてきてちょうだい」
「わかりました」

 レティシアはアランと共に離宮の中庭へと向かう為、応接室を後にした。



 アランを連れて離宮の中庭へと出たレティシアは足を止めてから、背後にいるアランに向き直る為、振り返る。

「単刀直入に言うわね。私の近衞騎士になってくれないかしら……?」
「近衞騎士ですか? それはレティシア王女殿下に仕える専属騎士ということですか?」
「まあ、そうなるわね。無理なら断ってくれても構わないわ!」

 アランを近衞騎士にしたいと思ったのは、昨日、自身の誕生日パーティーが行われた会場でグイードと共に顔を合わせた時、直感でこの人を自分の騎士にしたいと思ったからだ。
 だが、陛下から愛されていない、いかにも理由ありの王女の近衞騎士なんて嫌かもしれないと思っていたレティシアはダメ元で言ったのだが、アランの返事はレティシアの予想とは真逆の物だった。

「いいですよ。なります」
「即決なのね」
「はい、ずっとなりたいなと思っていましたので!」
「私の騎士に?」
「そうですよ!」

 まさか、自分の騎士になりたいと思っていてくれたなんて思わなかったレティシアは嬉しそうに微笑む。

「そうなのね、嬉しいわ、ありがとう。アラン、これからよろしくね」
「はい、こちらこそよろしくお願いします!」

 アランは軽く会釈して、レティシアを見て優しく笑いかけた。
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