溺愛ラブホリック!

1.憧れの星ノ宮学園

 私の名前は月姫輝夜(つきひめ かぐや)!

 名前とは裏腹に、友達から無邪気なおこちゃまだとか、素直で可愛い天然魔少女……? だとか言われちゃうぐらいの子どもっぽい中学生。

 今日は、憧れの星ノ宮学園に入学できるから、すごい楽しみなの!

 だけど、失恋直後でトラウマ化しちゃいそうな私にとって、切り替えが早すぎるこの学園は早かったかもしれないんだ。

 だって、この星ノ宮学園、校長先生が少女漫画の影響で恋愛に憧れてて、生徒同士の恋を見届けたいから! って恋愛特化学園にしちゃったんだよ!

 ここの校長先生こと星宮(ほしみや)校長先生は、サラサラストレートの黒髪をなびかせる全生徒の憧れの的!

 ときどきサングラスをかけて、ハワイ帰りなの〜、なんて自慢しているちょっと傲慢な先生なんだけど。

 なんと超どん底貧乏人の私の、いとこのお母さん!

 だから私とは接点が合って、よく可愛がられてぎゅーっと抱きしめられたりしてたの。

 本当、楽しみだなぁっ、中学生活!

 校長先生との繋がりがあるから、最高に嬉しいポイントをもらえたんだ。

 それは、学費・寮費・食費が全部無料になるっていう、貧乏人には叫びたくなるぐらい嬉しいポイントをもらったから、月姫家はきゃーって叫んでた。

 ただ、私は特待生として入学するから、卒業までに婚約する相手を探さなくちゃいけない。

 その相手を、婚約リングパートナーって言うらしい。

 婚約相手と結婚式に結ぶ愛の誓いを、指輪ことリングに込めるって意味らしいけど、どうしてその相手をそう言うんだろう? 校長先生の思惑がわからないよ。

 みんなは略して、婚約パートナーって呼んでるらしい。私も、そっちの呼び名の方がしっくりくるや。

 ちなみに、私が失恋した相手である、採火(さいか)くんは、とんでもない俺様男子で。

 いつも、俺が世界でナンバーワン! 誰にも負けない! とかが口癖で、最強オーラがだだ漏れだった。……まあ、実際全然最強なんかじゃなかったんだけどね。

 そんな子を好きになっちゃった私も個性的だったのかもしれないけど、そのときはそんな性格の採火くんが、すごーいかっこよかったのっ。

 近くにいるだけで、ほわぁって熱い吐息をこぼしちゃうくらい。

 それで、満を持して告白してみた……で、振られちゃったってわけだよ、あはは。

『わ、私っ……採火くんのことが……っ』

『あ? お前に好きになられても、嬉しくなんてねーわ。さっさと俺の視界からどいてくれる? 嫌いなんだよ、お前なんて』

 なんて冷たく断られちゃったんだ。

 採火くんの話をときどき聞くけど、サッカー部エースで……ヤンキーで暴走族の幹部なんだって。

 悪い噂が絶えないって、向こうの学校でも軽蔑の目で見られてるらしいから、失恋しておいてよかったかも? なんて思っちゃってた。

「すっごーい……っ! 豪華だし、綺麗だし、広い! 迷子になっちゃいそうだよ……っ」
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