溺愛ラブホリック!

4.芽生えた気持ちと誘拐

 そして、私達は海色カフェアリーを出た。

 おいしかったなぁ、ストロベリープリンセス〜。

 うっとり、思い出しよだれを垂らしそうになる。

「ごめん輝夜、ちょっと手洗い行ってくる」

「いってらっしゃ〜い」

 私はブンブン、遠のく背中に手を振っていた。

 いやぁ、ほんと夢みたいだよ。

 あの王子様が私なんかとデートしてくれてるんだもん。

 夢としか言いようがなくない?

「わわっ」

「……っと。だ、大丈夫? 怪我はない?」

「だ、大丈夫です……私、ルカって言います。輝夜さん、ですよね? お詫びもしたいので、ちょっときてくれませんか?」

「え? で、でも、私、今学校で模擬デートしてるの。だから、行くことは……ル、ルカちゃん!? ちょ……っ」

 ルカちゃんは、わざとらしく私にぶつかってきて、それで、どこかに連れて行こうとしてる。

 み、雅くん……っ。

 そう叫ぼうとしたのに。

 ルカちゃんは私の口をハンカチで塞いでて、私は……。

 スッと、気絶しちゃったんだ。

 それから、どのくらい経ったかな。結構経ったころ。

 頭が鈍器に殴られたみたいな激痛が走った。

 痛……。ここ、どこ……?

 ここは、見たこともない広いボロボロな場所。

 私はそこの壁にもたれかかっていたの。

「ルカ、ちゃん……?」

「あ、気づきました? みなさーん、時間ですよー?」

「いやぁ……な、なにするのっ……」

 私はカチャ、カチャ、と婚約チェッカーと婚約リングを強引に奪われた。

 婚約チェッカーは、雅くんとの最終連絡手段だった。

 でも、それを奪われちゃった今、外部への連絡は絶えちゃった。

 ど、どうしよう〜。ルカちゃん、なんか怖い人っぽい……っ。

 サラサラでロングストレートヘアの淡いスカイブルーの髪。深い紺色の瞳は、おっとりしているルカの性格を表していて、吸い込まれそうな星空みたい。

 も、もしかして、誘拐!? もしくは拉致?

 どっちも怖いよ〜……雅くん、助けて〜。

「ど、どうしてルカちゃん……なんで私のこと、ゆっ、誘拐なんて……」

「だってお前、星宮くんに手ぇ出してんじゃん」

「え……」

 ルカちゃんのおしとやかだった雰囲気はどこかに行って、今は殺気のこもったオーラがボワボワ出されてる。

 私の体はヒクッと反応していて、恐怖を覚えていたの。

「べ、つに、雅くんとは、婚約パートナーなだけで……手とか、出してるんじゃないし……」

 ビクビク体をふるわせて、ルカちゃんに訴えかける。

 周りからはワーワー男女が集まってきて、私は泣いている姿を見せていた。
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