溺愛ラブホリック!
 恐怖で、涙が止まらないんだもん。

「雅くんとか……ふざけんな!? お前みたいなちんちくりんが、なんで星宮くんと……ッ。なんであたしが選ばれねぇの!?」

 あ……お、思い出した。

 ルカって名前、どこかで聞いたことあるなぁって思ったけど、この学年一可愛いって言われてた、橋本ルカちゃんだ。

 ルカちゃん、生徒会長でおしとやかってイメージだったのに、こんなにきつい言葉を投げかけてくる人だったなんて。

「あたしは、星宮くんに選ばれるために努力してきた。成績優秀、頭脳明晰、容姿端麗で生徒会長なの! だから……だからッ。星宮くんに選ばれると思ってた! なのに、なんでお前みたいなちんちくりんが星宮くんの隣に立ってるんだよ!」

 そう、だよね……私”なんか“、ふさわしくないよね……。

 わかってるのに、チクリと胸が痛んだ。

 そういえば昔、お母さんが言ってたっけ。

「どれだけ努力しても、叶わないことがあるの。そんなときは、すぐパーッと諦めちゃえばすぐ終わるのよ」

 ……失礼だけど、まるで、今のルカちゃんに言ってあげたい言葉だな。

 それに、お父さんも名言を吐いてたような。

「こら、輝夜。そんなすぐ私”なんか“って言うんじゃない! 可愛い顔が台無しだろ? 輝夜は、輝く夜っていう、自慢できる名前なんだから! ”なんか“だなんて、もう言うな?」

 そうだ……。お父さん、私のこと蝶よ花よって育ててて、”なんか“って言葉を嫌ってた。

「ルカちゃん、お母さんが言ってたんだけどね。どれだけ努力しても、叶わないことがあるんだって。だから、パーッと諦めちゃいな……って。だけど、ルカちゃんは、……ッ……!」

 思いっきり頬を打たれて、私は痛みを堪える。

 ぅ……い、意識が、朦朧と……っ。

「うっせぇよ! あたしの努力舐めんじゃねぇ! 諦められるわけねぇだろ!? あたしは、あたしは……っ。ずっとずっと、星宮くんのためにして、星宮くんのために頑張って、星宮くんのために……」

「知ってるよ。だからこそ、だよ。諦めなくていいの」

 知ってるんだもん。

 ルカちゃん、本当に雅くんのことが大好きで、頑張ってきたんだよね。

 私は、優しく語りかける。

 よく、耳に届いてたから。

「諦めないで、チャレンジしなきゃ」

「っ……! う、うっせぇよ、バーカ。どうせ出してやんねーんだから、救世主の助けでも待ってろよ。じゃあな」

 そして、ぶっきらぼうに言い放ったら、ぷいっとそっぽを向いて、どこかへ行っちゃったルカちゃん。

 あーあ〜。性格が良ければ、友達になってたのになぁ。

 って、今デート中なのにどうしよう!? 雅くん、助けにきてよ〜っ!
< 15 / 23 >

この作品をシェア

pagetop