溺愛ラブホリック!
 心の中で、おいおい泣き叫んだ。

 すると、遠くからグハッ、とかガハッとか、悲鳴に近いうめき声が近づいてきた。

 ゾンビ? お化け? 出たのっ!?

 ひぃ〜っと怯えていると、ドンッと倉庫の扉を開けて入ってきたのは、紛れもない雅くん。

「みや、雅、くん……?」

「輝夜……やっと、見つけた……」

「ごめんね、途中でいなくなっちゃって……わぁっ!?」

 私は、コロン、とすぐ後ろに合ったマットに寝転がった。

 だって、雅くんが突然押すんだもん!

 怒れる気持ちで雅くんを見たら、なんとめちゃくちゃ至近距離で雅くんがいた。

 ま、間近で見ると眩しすぎるっ……っていうか、心臓に悪いよ〜。

 押してきたと思ったら、雅くんは私を押し倒していたんだ。

 そうしてちょっと経ったら、私にぎゅーっと抱きついた雅くん。

「ちょっ……え、みやっ、雅くんっ!? なんで抱きついて……っ?」

「心配、した……急にいなく、なるから……」

 雅くんは、少し震えた手でまたぎゅーっと抱きしめる。

 ど、どういうっ……? え、心配って……んん?

 っていうか震えてるし……どうしたんだろう……?

「あ、ありがとう……?」

 ポンポンと私が大きな雅くんの背中を撫でると、雅くんは更に抱きしめる腕を強めたの。

 えぇ……? だ、大事にしてくれてるってことで合ってるのかな……?

 私、良く友達からも鈍感! 天然! って呼ばれるから、私が気づいてないだけなのかもしれない。

「なんか、ごめんね? 雅くん……」

「平気。でも、誰につれてこられたんだ? っていうか輝夜、怪我してないか……?」

 壊れもののように大切に扱ってくれるから、特別って勘違いが生まれちゃう。

 だって、こんなに大切に大事に扱われたことないんだもんっ……。

 ドキドキしちゃうよ……。

 私の婚約チェッカーの恋愛度数は、全部ドギュンッて上がっちゃってるし。

 私、もしかして、雅くんのこと―――好き……?

 いっ、いやいやいやっ、そんなわけない!

 雅くんは、私のことを妹みたいに見てくれてるってだけなんだよね。

 だから、家族みたいに大切にしてくれるんだよ、たぶん。

 でも、好きかもって自覚したら、芽生えた気持ちはもう消せなくて。

 これが、恋する乙女なのっ……?

 恋じゃないけど……うぅぅ……。

 なんか、良くわからなくなっちゃった……。

 私はこの気持ちを頑張って抑えながら、ふたりで倉庫を出た。

 あっ、ここ、学園内の使われてない体育倉庫だったんだ。

 暗すぎてよく見えなかったよ。

 まだ慣れない目をパチクリ瞬きをさせて、雅くんに微笑みかけた。

「雅くん、心配かけちゃってごめんね? 模擬デートの時間、結構減っちゃったでしょう?」
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