最後の賭け
1話:不思議な人
今年もうららかな春がやってきた。クラス替えで昇降口の前には、大勢の人だかりができていた。
美雪「すごい人だかり…」
詩織「美雪~!おはよう!!」
美雪「詩織、おはよう。」
詩織「クラスどこだった??私Aクラス!」
美雪「実はまだ見てないの。みんな見に来てるから中々見えなくて…。」
詩織「そうなんだ、じゃあもっと前行かなきゃ!!」
詩織はそう言って私の腕を引っ張り、かなり前まで連れて行った。
美雪「えっと…、あ、あった。私もAクラスだね。」
詩織「同じじゃん!神~!!じゃあ教室行こうか?」
美雪「うん。」
教室へ入るのと同時に始業のチャイムが鳴った。
詩織「ぴったりだったね。」
美雪「そうね、最初は出席番号順だからまたあとでね。」
詩織「うん!」
担任の先生も明かされたところで自己紹介に入った。
先生「名前、部活、趣味、一言は絶対な!ほかに言いたいことあれば付け足していいぞ~。」
先生の合図で出席番号1番から自己紹介が始まった。しばらくしたら詩織の番になった。
詩織「おはようございます!明るさだけが取り柄と言われる西園寺詩織とは私のことよ!吹奏楽部に入ってます!趣味は楽器を吹くことと愛する美雪を愛でる!私の美雪に惚れるのは勝手だけど手出してこないでね~よろしく!」
クラスが一気に和やかになった。ただ、私を愛でるってなんだろう…。
そしてようやく私の番が回ってきた。
美雪「初めまして、高嶺美雪と言います。吹奏楽部でフルートを担当しています。趣味は音楽を聴くことと、楽しく遊ぶことです。みんなと仲良くなれたらと思っています。よろしくお願いします!」
拍手と共に響いた、「美雪様」や「愛してる私の美雪」などは聞かなかったことにしよう。
やっと緊張が解けたところで、私はみんなの自己紹介に耳を傾けた。
先生「じゃあラスト!」
蒼夜「結城蒼夜です。部活は入ってないし趣味も特にありません。仲良しこよしするつもりはないので業務連絡以外は話しかけないでください。以上です。」
クラス全員の時が止まった。さっきまでの和やかな雰囲気が嘘のように静かになった。そして空気に耐えかねた先生が無理矢理話を変えた。
先生「そ、そんな感じでみんなよろしくな!それじゃHR終わり!」
先生は早足に去っていった。他の人も空気を変えようと動き出した。みんなが不審な目で彼を見た。
詩織「何か感じ悪いねぇ~…。一匹狼って感じで。」
美雪「確かに不思議な人だね。でも、第一印象で決めるのは良くないよ。」
詩織「美雪は優しすぎるよ、ああゆう人とは本人が望む通り関わらないのがいいって。」
美雪「そうなのかな…。」
結城蒼夜くん、どんな人なのかなぜか気になった。彼が纏う独特な雰囲気に私は完全に魅せられていた。
その後、通常授業を受け、LHRの時間となった。委員会や係などを決めるようだ。
先生「それじゃ、まずはクラス会長から決めるぞ~。立候補または推薦いるか?」
男子1「は~い!高嶺さんを推薦しま~す!!」
美雪「えっ!?」
驚いた。まさか自分が推薦されるなんて思ってなかったからだ。
先生「推薦の理由は?」
男子1「高嶺さん真面目だし、それに会長はかわいい方がクラスの士気も上がるってもんでしょ!!」
男子2「確かに!高嶺さんよりかわいい女子なんていないしな!」
先生「高嶺はどうだ?」
美雪「えっと…その…。」
正直みんなの前に立ってというのは苦手だ。それに会長になったら多くの人と関わることになる。
私は昔、両親から身体的・性的虐待を受けていたせいで、男性がちょっぴり苦手なのだ。本当はやりたくないが、もうクラスの流れは完全に私になっている。嫌ですとは言いにくい…。
詩織「ちょっと!勝手に進めないでよ!会長なら私が立候補するわ!」
男子1「えぇ~確かに詩織も顔良い方だけど、高嶺さんがいいなぁ~。な?みんな!」
男子のその掛け声にクラスのほとんどが同意を示した。
先生「どうだ?高嶺。やってくれないか?補佐役の副会長2人は高嶺が決めていいから。」
美雪「わ、わかりました…。」
先生「ありがとう。よし、じゃあ高嶺!副会長を選んでくれ。」
その瞬間、多くの男子が自分の長所をアピールしだしたが、もう私の意思は決まっていた。
美雪「副会長の1人には西園寺詩織さんを推薦します。」
詩織「任せて!」
美雪「そして、もう1人は…、」
私の言葉にクラスメイトのほとんどが耳を傾けている。私は、聞き逃されないようにその人の目の前に行って名前を呼んだ。
美雪「結城蒼夜くん、副会長になってきれませんか?」
クラス全員が騒然とした。先生でさえも。
蒼夜「どうして?」
美雪「私が推薦された時、唯一ノリに乗らなかったから。あと、あなたのことを知りたいの。」
蒼夜「別にいいけど。俺を知ったところで何も変わんないよ。」
美雪「そんなことないと思う。それじゃ、よろしくね。」
蒼夜「うん。」
そして会長、副会長含めすべての委員会・係が決まりその日の学校は終了となった。
美雪「すごい人だかり…」
詩織「美雪~!おはよう!!」
美雪「詩織、おはよう。」
詩織「クラスどこだった??私Aクラス!」
美雪「実はまだ見てないの。みんな見に来てるから中々見えなくて…。」
詩織「そうなんだ、じゃあもっと前行かなきゃ!!」
詩織はそう言って私の腕を引っ張り、かなり前まで連れて行った。
美雪「えっと…、あ、あった。私もAクラスだね。」
詩織「同じじゃん!神~!!じゃあ教室行こうか?」
美雪「うん。」
教室へ入るのと同時に始業のチャイムが鳴った。
詩織「ぴったりだったね。」
美雪「そうね、最初は出席番号順だからまたあとでね。」
詩織「うん!」
担任の先生も明かされたところで自己紹介に入った。
先生「名前、部活、趣味、一言は絶対な!ほかに言いたいことあれば付け足していいぞ~。」
先生の合図で出席番号1番から自己紹介が始まった。しばらくしたら詩織の番になった。
詩織「おはようございます!明るさだけが取り柄と言われる西園寺詩織とは私のことよ!吹奏楽部に入ってます!趣味は楽器を吹くことと愛する美雪を愛でる!私の美雪に惚れるのは勝手だけど手出してこないでね~よろしく!」
クラスが一気に和やかになった。ただ、私を愛でるってなんだろう…。
そしてようやく私の番が回ってきた。
美雪「初めまして、高嶺美雪と言います。吹奏楽部でフルートを担当しています。趣味は音楽を聴くことと、楽しく遊ぶことです。みんなと仲良くなれたらと思っています。よろしくお願いします!」
拍手と共に響いた、「美雪様」や「愛してる私の美雪」などは聞かなかったことにしよう。
やっと緊張が解けたところで、私はみんなの自己紹介に耳を傾けた。
先生「じゃあラスト!」
蒼夜「結城蒼夜です。部活は入ってないし趣味も特にありません。仲良しこよしするつもりはないので業務連絡以外は話しかけないでください。以上です。」
クラス全員の時が止まった。さっきまでの和やかな雰囲気が嘘のように静かになった。そして空気に耐えかねた先生が無理矢理話を変えた。
先生「そ、そんな感じでみんなよろしくな!それじゃHR終わり!」
先生は早足に去っていった。他の人も空気を変えようと動き出した。みんなが不審な目で彼を見た。
詩織「何か感じ悪いねぇ~…。一匹狼って感じで。」
美雪「確かに不思議な人だね。でも、第一印象で決めるのは良くないよ。」
詩織「美雪は優しすぎるよ、ああゆう人とは本人が望む通り関わらないのがいいって。」
美雪「そうなのかな…。」
結城蒼夜くん、どんな人なのかなぜか気になった。彼が纏う独特な雰囲気に私は完全に魅せられていた。
その後、通常授業を受け、LHRの時間となった。委員会や係などを決めるようだ。
先生「それじゃ、まずはクラス会長から決めるぞ~。立候補または推薦いるか?」
男子1「は~い!高嶺さんを推薦しま~す!!」
美雪「えっ!?」
驚いた。まさか自分が推薦されるなんて思ってなかったからだ。
先生「推薦の理由は?」
男子1「高嶺さん真面目だし、それに会長はかわいい方がクラスの士気も上がるってもんでしょ!!」
男子2「確かに!高嶺さんよりかわいい女子なんていないしな!」
先生「高嶺はどうだ?」
美雪「えっと…その…。」
正直みんなの前に立ってというのは苦手だ。それに会長になったら多くの人と関わることになる。
私は昔、両親から身体的・性的虐待を受けていたせいで、男性がちょっぴり苦手なのだ。本当はやりたくないが、もうクラスの流れは完全に私になっている。嫌ですとは言いにくい…。
詩織「ちょっと!勝手に進めないでよ!会長なら私が立候補するわ!」
男子1「えぇ~確かに詩織も顔良い方だけど、高嶺さんがいいなぁ~。な?みんな!」
男子のその掛け声にクラスのほとんどが同意を示した。
先生「どうだ?高嶺。やってくれないか?補佐役の副会長2人は高嶺が決めていいから。」
美雪「わ、わかりました…。」
先生「ありがとう。よし、じゃあ高嶺!副会長を選んでくれ。」
その瞬間、多くの男子が自分の長所をアピールしだしたが、もう私の意思は決まっていた。
美雪「副会長の1人には西園寺詩織さんを推薦します。」
詩織「任せて!」
美雪「そして、もう1人は…、」
私の言葉にクラスメイトのほとんどが耳を傾けている。私は、聞き逃されないようにその人の目の前に行って名前を呼んだ。
美雪「結城蒼夜くん、副会長になってきれませんか?」
クラス全員が騒然とした。先生でさえも。
蒼夜「どうして?」
美雪「私が推薦された時、唯一ノリに乗らなかったから。あと、あなたのことを知りたいの。」
蒼夜「別にいいけど。俺を知ったところで何も変わんないよ。」
美雪「そんなことないと思う。それじゃ、よろしくね。」
蒼夜「うん。」
そして会長、副会長含めすべての委員会・係が決まりその日の学校は終了となった。
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