いばらの塔のエリオット

俺を求めて

「ああああああ!」

 指が、奥へ奥へと入り込んでくる。
 中の形を確かめるように、蠢いている感触がたまらない。

 王子の息も上がっていた。淫猥な笑みを浮かべ、獲物をなぶるような表情で、指を2本、3本と増やしていく。

「ああっ、あああ……いやっ、もう……」

「いきそうか」

「はい、あっ、あっ」

 意思とは関係なくメリの腰は波打ち、快楽に顔を歪め、両手でシーツを掴んだ。
 まもなく上り詰めようという時になって、王子は、ぴたりと動きを止める。

「は……」

「メリ」

「王子……?」

「俺が欲しいか」

「あ……」

 再び指が動き始める。一度冷めかけた熱が、また駆け上がってくる。

「あっ、また……」

「欲しいと言え」

「ああっ」

「言ってくれ」

 胡乱な目で、メリは王子の顔を見つめた。命令口調ながら、王子の表情は、白銀の鱗の痛みに耐えている時のあの瞳に似ていた。

 自分を受け入れて欲しい。
 嫌いにならないでほしい。
 愛してほしい。

 行為の最中、一見高圧的にも聞こえるその言葉の中に、そんな想いが見え隠れした。

 ––––こんなの、拒めないじゃない。

 胸が締め付けられた。これを恋と呼ぶのかはわからない。
 だけど。この人を愛してあげたい。この人の唯一になってあげたい。
 認められず、大事にされず、苦しみ続ける辛さは知っている。
 自分もそうだったから。

 身をよがらせなら、メリは王子に応える。

「エリオット」

「なんだ」

「入ってきて。あなたが欲しいの」

 恍惚とした彼の笑みは、青い薔薇が咲いたように華やかで、満たされた顔をしていた。

 しかしすぐに彼の顔からは余裕が消え、メリの蜜壺の入り口に、自分の熱を押し付けてくる。
 躊躇いもなく、それは一気に押し入ってきた。

 水音がはしたなく響き渡り、腰を打ち付ける音がこだまする。

 あとはもう、二人とも夢中だった。
 指先を絡めあい、唾液を混じり合わせながら、お互いの口内を貪り合う。
 硬く、力強いものが、メリの奥を突いた。

「メリ」

「はぁ……はい……」

「好きだ」

 王子はメリの中を行き来しながら、ぴんと主張を強めた二つの蕾をいじめた。

「ああっ、エリオット! それ、だめ!」

 上り詰める直前まで責めたて続けるつもりだろうか。
 気持ちいいところを同時に弄られ、メリはいやいやと、首を横に振る。

「愛してる」

 胸元を離れた片手が、花弁の入り口でぷっくりと膨らんだ突起を弄ぶ。

「ひ……ひあっ! やああ! いやっ、もうダメっ、いやあ」

「俺を……はぁ……受け入れてくれて。ありがとう、メリ」

 腰が、彼の思いの丈をぶつけるように打ち付けられる。
 その瞬間、メリは腰をガクガクと揺らしながら、果てた。

 あまりの絶頂に、メリの頭の中は真っ白になった。
 子宮が収縮し、子種を搾り取るように彼のものを扱く。
 その動きに耐えかねたように、王子は体を引くと、メリの腹上に精を放った。
< 11 / 13 >

この作品をシェア

pagetop