元メイドの皇女が幸せを見つけるまで
ある日、アリアの国と大国であるイベリア帝国の間に戦いが起こり、アリアの国は惨敗した。
そんな国の行く末の1つ、国土を失うこと。
では、国を失った王族が辿る運命は.......
玉座がある部屋にて、イベリア帝国の紋章をつけた兵に王や皇后、側室達、同母姉に見たことない兄弟が囲まれていた。
王族でありながらもメイド服を着ていたアリアは影で見ている第三者になっていた。
「1、2、3......6、7、8......。この国には王族が9人いる。後、1人はどこだ?」
「お母様、あいつがいないです」
「私たちだけ囚われて、あいつだけ逃げる......?そんなの冗談じゃない!」
敵に捕まってようやくアリアのことを思い出している皇后に同母姉。
アリアはそんな主様に呼ばれたので、影から出てきた。
主の命令は絶対。
背いたら何をされるのか分からない。
「わたくしがこの国の王女です」
小国とは言っても1国の王女。
そんなアリアが来ているのはボロボロで切れかけている下級メイド服。
まさか、王女がメイド服を着て表れるとは思ってもいなかったイベリア帝国の兵士は動揺を見せる。
「逃亡を考えていたのか?」
冷酷無慈悲として大陸中に知れ渡っている皇太子が尋ねてくる。
メイド同然の生活をしているなんて思ってもない皇太子はメイド服を着たアリアを見てそう思ったんだろう。
中級、上級メイドは貴族出身がほとんどだが、下級メイドは貧困家庭や敗戦国出身が多くを占めている。
たとえ宮殿のメイドでも下級メイドなら外に出ても違和感がない。
「いえ。わたくしは主様である皇后様や第一王女様の命令に従ったまで」
今、話しているのは大国の皇太子。
(何か不敬なことをしてわたくしを殺してもらいましょう)
こんな機会はもう来ないかもしれない。
「皇太子殿下、わたくしは敗戦した国の者......。生きている価値などございませんので殺して下さい」
名付けて、皇太子に直接お願いする作戦。
空よりも遠いやんごとなき方にお願いするなど不敬極まりない。
死ぬ瞬間は苦しいと思うが、今までの地獄の日々よりはずっとマシだろう。
(これでようやく楽になれる......)
不安でも恐怖でもなくアリアの心は幸せに包まれていた。
少しでも首を切りやすいように唯一アリアが持っているネックレスを服の中から取り出し、刃が当たるのを待っていたが中々来ない。
「いつになったらわたくしを殺してくれるのですか?」
「......ちょっと事情が変わった。今からお前、いや、あなたは俺の国、イベリア帝国に行くことになった」
(ネックレスにその見た目......。まさかアリアか......?)
「わたくしの処刑はイベリア帝国で見せしめにされると。分かりました」
見せしめに殺されるとは思っていなかったが、死ねるならそれでいい。
「いや、処刑はしない。シエル、取り敢えず、王族は牢の中に入れとけ、後始末を頼んだ。俺はこの子を本国に連れて帰る」
「承知しました」
「どうし」
最後まで言えることはなかった。
体が熱い。
意思が届かない体は徐々に力を失って、アリアは崩れ落ちた。
「お、おい!」
意識が落ちる前に見たのは銀色に紫の瞳を持つ皇太子の顔だった。
そんな国の行く末の1つ、国土を失うこと。
では、国を失った王族が辿る運命は.......
玉座がある部屋にて、イベリア帝国の紋章をつけた兵に王や皇后、側室達、同母姉に見たことない兄弟が囲まれていた。
王族でありながらもメイド服を着ていたアリアは影で見ている第三者になっていた。
「1、2、3......6、7、8......。この国には王族が9人いる。後、1人はどこだ?」
「お母様、あいつがいないです」
「私たちだけ囚われて、あいつだけ逃げる......?そんなの冗談じゃない!」
敵に捕まってようやくアリアのことを思い出している皇后に同母姉。
アリアはそんな主様に呼ばれたので、影から出てきた。
主の命令は絶対。
背いたら何をされるのか分からない。
「わたくしがこの国の王女です」
小国とは言っても1国の王女。
そんなアリアが来ているのはボロボロで切れかけている下級メイド服。
まさか、王女がメイド服を着て表れるとは思ってもいなかったイベリア帝国の兵士は動揺を見せる。
「逃亡を考えていたのか?」
冷酷無慈悲として大陸中に知れ渡っている皇太子が尋ねてくる。
メイド同然の生活をしているなんて思ってもない皇太子はメイド服を着たアリアを見てそう思ったんだろう。
中級、上級メイドは貴族出身がほとんどだが、下級メイドは貧困家庭や敗戦国出身が多くを占めている。
たとえ宮殿のメイドでも下級メイドなら外に出ても違和感がない。
「いえ。わたくしは主様である皇后様や第一王女様の命令に従ったまで」
今、話しているのは大国の皇太子。
(何か不敬なことをしてわたくしを殺してもらいましょう)
こんな機会はもう来ないかもしれない。
「皇太子殿下、わたくしは敗戦した国の者......。生きている価値などございませんので殺して下さい」
名付けて、皇太子に直接お願いする作戦。
空よりも遠いやんごとなき方にお願いするなど不敬極まりない。
死ぬ瞬間は苦しいと思うが、今までの地獄の日々よりはずっとマシだろう。
(これでようやく楽になれる......)
不安でも恐怖でもなくアリアの心は幸せに包まれていた。
少しでも首を切りやすいように唯一アリアが持っているネックレスを服の中から取り出し、刃が当たるのを待っていたが中々来ない。
「いつになったらわたくしを殺してくれるのですか?」
「......ちょっと事情が変わった。今からお前、いや、あなたは俺の国、イベリア帝国に行くことになった」
(ネックレスにその見た目......。まさかアリアか......?)
「わたくしの処刑はイベリア帝国で見せしめにされると。分かりました」
見せしめに殺されるとは思っていなかったが、死ねるならそれでいい。
「いや、処刑はしない。シエル、取り敢えず、王族は牢の中に入れとけ、後始末を頼んだ。俺はこの子を本国に連れて帰る」
「承知しました」
「どうし」
最後まで言えることはなかった。
体が熱い。
意思が届かない体は徐々に力を失って、アリアは崩れ落ちた。
「お、おい!」
意識が落ちる前に見たのは銀色に紫の瞳を持つ皇太子の顔だった。