機械人形の見る夢
 “彼”は主人に買われた、“一体”の人型アンドロイドだった。

 その主人は独り身の若い女性で、彼を買った動機はたった一つ、

『恋人に捨てられた自分の記憶を消し去ってほしい。あなたに何をされても良いから』

ただそれだけ。

 すると彼はなんの躊躇もなく彼女の身体に乱暴した。
 主人である彼女の願いのために。

 彼女はとうとう気を失いベッドに力無く横たわる。

 彼はその時、自身の胸にズキリと鳴り響く音を聞いた。


 人間の命令をきくことに特化していた彼には、良心への理解などなかった。

 造られたばかりでまだ何の経験もない。
 しかも“三原則”から漏れ、欠陥があった。
 彼にとっては、彼女から命令をされたためにした、ただそれだけのこと。
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