優秀な妹と婚約したら全て上手くいくのではなかったのですか?
24.愚かなる男(エルメラ視点)
「こ、これは一体、どういうことなんだ?」
「どういうこととは、何のことでしょうか?」
「家に警察が来るなんて、どういうことなのかと聞いているんだ」
パルキスト伯爵家の次男坊は、私に詰め寄ってきていた。
そんな彼に私は、冷たい目を向ける。この愚かな男に対して、もう媚を売る必要もない。
「あなたの母親が、私のことを殺そうとしたんです。ああ、証拠はありますよ。私はそういった敵を追い詰めるための魔法をいつも行使しているんです」
「母上を追い詰めて、どうする? 僕達の婚約は、どうなるというんだ?」
「ああ、それならここで婚約破棄しておきます。というか、どうして私が責められなければならないのでしょうか? 罪を犯したのは、あなたの母親ですよ?」
私の元婚約者は、よくわからない怒りをぶつけてきていた。
母親もそうだったが、この男も短絡的で不可解な思考をしているらしい。似た者親子ということだろうか。
「母上がそんなことをするなんて……あり得ない! 君が何かをしたのではないのか?」
「責任転嫁ですか……そういえば、あなたは確か以前お姉様に私と婚約すれば、全てが上手くいくなんて言っていたようですね」
「そ、それがどうした?」
「あなたの能力では、私に利益をもたらすことなんて、できません。その点において、あなたが自惚れていたということを言わせてください」
この男は、お姉様所か私にも釣り合わない男だ。
こんな男と婚約させようとしたお父様にも、反省してもらいたい。
「こ、この僕に、そんな口を聞くなんて……何様のつもりだ?」
「私は、そんな口が聞けるのです。あなたと違って、私は偉大ですからね。ああ、忘れない内に出しておきますか。これはあなたの借用書です」
「え?」
パルキスト伯爵家については、とことん追い詰めていくつもりである。
そのために私は、この家の隅々を捜索して、様々な事実を掴んでおいた。
貴族というものは、多かれ少なかれ汚い面を持っているものだ。
それらは本来ならお互いのために見て見ぬ振りをするものだろう。実際に、一つ一つは汚点ではあるが、家を追い詰めるまでできることはできない。
しかし今回は、夫人が大きな罪を犯したという事実がある。それと合わせて、パルキスト伯爵家には二度と立ち上がれない程に、没落してもらわなければならない。
「ギャンブルで大敗して借金なんて、みっともない限りですね……早い所、伯爵に相談すれば、解決してくださったでしょうに、プライドが邪魔したのですか?」
「そ、それは……」
「まあ、どの道パルキスト伯爵家は終わりでしょうね……さてと、私は今から魔物退治に行ってきます。家の事情で、伯爵も魔物の大量発生所ではなくなるでしょうからね」
私は、パルキスト伯爵家の次男に背を向けた。
こんな男のことよりも、今は魔物退治の方が重要だ。夜は魔物も活発だろうし、今の内に数を減らしておくとしよう。
「どういうこととは、何のことでしょうか?」
「家に警察が来るなんて、どういうことなのかと聞いているんだ」
パルキスト伯爵家の次男坊は、私に詰め寄ってきていた。
そんな彼に私は、冷たい目を向ける。この愚かな男に対して、もう媚を売る必要もない。
「あなたの母親が、私のことを殺そうとしたんです。ああ、証拠はありますよ。私はそういった敵を追い詰めるための魔法をいつも行使しているんです」
「母上を追い詰めて、どうする? 僕達の婚約は、どうなるというんだ?」
「ああ、それならここで婚約破棄しておきます。というか、どうして私が責められなければならないのでしょうか? 罪を犯したのは、あなたの母親ですよ?」
私の元婚約者は、よくわからない怒りをぶつけてきていた。
母親もそうだったが、この男も短絡的で不可解な思考をしているらしい。似た者親子ということだろうか。
「母上がそんなことをするなんて……あり得ない! 君が何かをしたのではないのか?」
「責任転嫁ですか……そういえば、あなたは確か以前お姉様に私と婚約すれば、全てが上手くいくなんて言っていたようですね」
「そ、それがどうした?」
「あなたの能力では、私に利益をもたらすことなんて、できません。その点において、あなたが自惚れていたということを言わせてください」
この男は、お姉様所か私にも釣り合わない男だ。
こんな男と婚約させようとしたお父様にも、反省してもらいたい。
「こ、この僕に、そんな口を聞くなんて……何様のつもりだ?」
「私は、そんな口が聞けるのです。あなたと違って、私は偉大ですからね。ああ、忘れない内に出しておきますか。これはあなたの借用書です」
「え?」
パルキスト伯爵家については、とことん追い詰めていくつもりである。
そのために私は、この家の隅々を捜索して、様々な事実を掴んでおいた。
貴族というものは、多かれ少なかれ汚い面を持っているものだ。
それらは本来ならお互いのために見て見ぬ振りをするものだろう。実際に、一つ一つは汚点ではあるが、家を追い詰めるまでできることはできない。
しかし今回は、夫人が大きな罪を犯したという事実がある。それと合わせて、パルキスト伯爵家には二度と立ち上がれない程に、没落してもらわなければならない。
「ギャンブルで大敗して借金なんて、みっともない限りですね……早い所、伯爵に相談すれば、解決してくださったでしょうに、プライドが邪魔したのですか?」
「そ、それは……」
「まあ、どの道パルキスト伯爵家は終わりでしょうね……さてと、私は今から魔物退治に行ってきます。家の事情で、伯爵も魔物の大量発生所ではなくなるでしょうからね」
私は、パルキスト伯爵家の次男に背を向けた。
こんな男のことよりも、今は魔物退治の方が重要だ。夜は魔物も活発だろうし、今の内に数を減らしておくとしよう。