優秀な妹と婚約したら全て上手くいくのではなかったのですか?
33.歯切れが悪い言葉
「婚約、ですか? 私が?」
お父様に呼び出されて婚約の話だと聞かされて、私は少し驚いていた。
パルキスト伯爵家の一件があってから、その辺りについては非常に不明慮になっていた。
どちらがアーガント伯爵家で婿を迎える立場になるのかとか、そういったことも含めて、色々と聞きたい所である。
「それは、アーガント伯爵家に婿を迎えるという話なのですか? それとも、私が嫁に行くという話なのですか?」
「婿を迎える話だ」
「なるほど……やっぱり、エルメラはアーガント伯爵家を背負いたくないのでしょうか?」
「まあ、それはそうだが……どの道、長女であるお前が背負うのが筋というものだ」
結局はぐらかされて何もわかっていないのだが、エルメラがブラッガ様と婚約したのは、アーガント伯爵家を侮辱されたからだったのだろう。
つまり、エルメラの主張は変わっていない。彼女は、あくまでも研究などに注力して、私がアーガント伯爵家を背負っていくことになるようだ。
「えっと、それにしてもよくこんなにも早く婚約者が見つかったものですね。パルキスト伯爵家であんなことがあった訳ですから、もう少し時間がかかるものではありませんか?」
「その辺りに関しては、色々とあった。まあ、今回の縁談を熱望していた者がいてな」
「熱望?」
「恐らく、お前にとってもいい知らせだと思う」
お父様の歯切れは、なんだかとても悪かった。
凛々しくて厳しいお父様がそんな風になるなんて、少し意外だ。一体何があったのだろうか。
「お前の婚約相手は、ドルギア殿下だ」
「ドルギア殿下?」
「ああ、よく知っている方だろう」
「ええ、それはもう、とても良くしてもらっていますから……」
お父様の言葉に、私はとても驚いていた。
ただ、これは言っていた通り、私にとってはいい知らせである。
あのドルギア殿下と婚約できるなんて、光栄だ。彼程、紳士的な人はそういないし、とても良き婚約相手であると思う。
「でも、よく王族との婚約の話が出ましたね?」
「ああ、熱望していた者がいたからな」
「それはどなたなんですか?」
「……」
「……?」
私の質問に、お父様は目をそらした。
その熱望していた人というのは、明かすことができない人なのだろうか。
「まあ、それについては本人の心の整理がついたら話す可能性がない訳でもないかもしれない」
「……お父様、いくらなんでも歯切れが悪すぎる気がします」
「これは、仕方ないことなのだ。とにかくお前は、婚約のことだけを考えておいてくれ」
「は、はい……」
ドルギア殿下との婚約は、私にとってとても嬉しいものだった。
しかしそのきっかけなどがわからず、少しだけもやもやが残ったというのが、正直な所だ。
お父様に呼び出されて婚約の話だと聞かされて、私は少し驚いていた。
パルキスト伯爵家の一件があってから、その辺りについては非常に不明慮になっていた。
どちらがアーガント伯爵家で婿を迎える立場になるのかとか、そういったことも含めて、色々と聞きたい所である。
「それは、アーガント伯爵家に婿を迎えるという話なのですか? それとも、私が嫁に行くという話なのですか?」
「婿を迎える話だ」
「なるほど……やっぱり、エルメラはアーガント伯爵家を背負いたくないのでしょうか?」
「まあ、それはそうだが……どの道、長女であるお前が背負うのが筋というものだ」
結局はぐらかされて何もわかっていないのだが、エルメラがブラッガ様と婚約したのは、アーガント伯爵家を侮辱されたからだったのだろう。
つまり、エルメラの主張は変わっていない。彼女は、あくまでも研究などに注力して、私がアーガント伯爵家を背負っていくことになるようだ。
「えっと、それにしてもよくこんなにも早く婚約者が見つかったものですね。パルキスト伯爵家であんなことがあった訳ですから、もう少し時間がかかるものではありませんか?」
「その辺りに関しては、色々とあった。まあ、今回の縁談を熱望していた者がいてな」
「熱望?」
「恐らく、お前にとってもいい知らせだと思う」
お父様の歯切れは、なんだかとても悪かった。
凛々しくて厳しいお父様がそんな風になるなんて、少し意外だ。一体何があったのだろうか。
「お前の婚約相手は、ドルギア殿下だ」
「ドルギア殿下?」
「ああ、よく知っている方だろう」
「ええ、それはもう、とても良くしてもらっていますから……」
お父様の言葉に、私はとても驚いていた。
ただ、これは言っていた通り、私にとってはいい知らせである。
あのドルギア殿下と婚約できるなんて、光栄だ。彼程、紳士的な人はそういないし、とても良き婚約相手であると思う。
「でも、よく王族との婚約の話が出ましたね?」
「ああ、熱望していた者がいたからな」
「それはどなたなんですか?」
「……」
「……?」
私の質問に、お父様は目をそらした。
その熱望していた人というのは、明かすことができない人なのだろうか。
「まあ、それについては本人の心の整理がついたら話す可能性がない訳でもないかもしれない」
「……お父様、いくらなんでも歯切れが悪すぎる気がします」
「これは、仕方ないことなのだ。とにかくお前は、婚約のことだけを考えておいてくれ」
「は、はい……」
ドルギア殿下との婚約は、私にとってとても嬉しいものだった。
しかしそのきっかけなどがわからず、少しだけもやもやが残ったというのが、正直な所だ。