優秀な妹と婚約したら全て上手くいくのではなかったのですか?
67.盛り上がる会話(チャルア視点)
「まず前提として、私はお兄様やお姉様のことを尊敬しています。ここにいるチャルアお兄様なんてすごいのですよ。騎士団に顔が利いていて、次期騎士団長に抜擢されているのです」
「まあ、それは確かに大したことだといえなくもありませんが、そういった地位で人を評価するというのはどうかと思いますね。やはり大切なのは、本人の人格――内面であるでしょう。その点、私のお姉様は素敵です。その全てを包み込むような優しさには、いつも感心してしまいます」
「それを言うなら、チャルアお兄様の内面だってすごいのですよ。チャルアお兄様は、自らに厳しい人なのです。騎士団長になると決まっても、鍛錬を怠りません。これから背負うものの重大さを認識して、それでも己を見つめ直すことを忘れないのです」
ティルリアとエルメラ嬢の話が始まって、俺は頭を抱えることになった。
もちろん、自分のことを褒めてもらえるのは嬉しく思う。ただティルリアは、少し大袈裟過ぎる。俺はそんなに大そうな人間ではない。
というかこの二人は、俺がこの場にいることを認識しているのだろうか。それすらも怪しい気がする。なんというか、お互いに話の内容に夢中になっているのではないだろうか。
「ああただ、今日はチャルアお兄様のことを話に来たという訳ではないのです。問題なのは、ドルギアのことです」
「ドルギア……殿下、ですか」
ドルギアの名前が出て、エルメラ嬢は少しその表情を歪めた。
先程まではそれなりに楽しそうにしていたので、かなり落差がある。
「ドルギアは私にとって、可愛い弟です。あの子の良い所は、やはりなんとも言ってもその優しさでしょうかね」
「優しい……まあ、優しくはありますか。いや、でも……」
「そういった点において、イルティナ嬢とはお似合いですね」
「そんなことはありません」
ティルリアの言葉に、エルメラ嬢は首を振った。
強い否定の言葉だ。ドルギアのことをまったく認めていないといった感じである。そもそも二人の婚約は、彼女がもたらしたものだというのに。
そんなエルメラ嬢に対して、ティルリアは笑う。まったく持って、気にしていないといった感じだ。そういう図太い所は、この妹の長所といえるかもしれない。
「おや、エルメラ嬢はドルギアのことがお嫌いですか?」
「ええ、嫌いですね」
「ふふ、私はイルティナ嬢のことは好きですよ?」
「それは当然ですね。お姉様のことを好きにならない人なんていませんから。いたとしたら見る目がないだけです」
「素敵な人ですからね、イルティナ嬢は。とても温かな人だと思います」
「はい、お姉様程素敵な人はいませんね」
ティルリアがイルティナ嬢のことを褒め讃えると、エルメラ嬢は笑顔を取り戻した。
彼女のことは、中々に難しい人であると思っていたが、そうでもないのかもしれない。
思った以上にこの天才は単純だった。それは驚きべきことである。
「まあ、それは確かに大したことだといえなくもありませんが、そういった地位で人を評価するというのはどうかと思いますね。やはり大切なのは、本人の人格――内面であるでしょう。その点、私のお姉様は素敵です。その全てを包み込むような優しさには、いつも感心してしまいます」
「それを言うなら、チャルアお兄様の内面だってすごいのですよ。チャルアお兄様は、自らに厳しい人なのです。騎士団長になると決まっても、鍛錬を怠りません。これから背負うものの重大さを認識して、それでも己を見つめ直すことを忘れないのです」
ティルリアとエルメラ嬢の話が始まって、俺は頭を抱えることになった。
もちろん、自分のことを褒めてもらえるのは嬉しく思う。ただティルリアは、少し大袈裟過ぎる。俺はそんなに大そうな人間ではない。
というかこの二人は、俺がこの場にいることを認識しているのだろうか。それすらも怪しい気がする。なんというか、お互いに話の内容に夢中になっているのではないだろうか。
「ああただ、今日はチャルアお兄様のことを話に来たという訳ではないのです。問題なのは、ドルギアのことです」
「ドルギア……殿下、ですか」
ドルギアの名前が出て、エルメラ嬢は少しその表情を歪めた。
先程まではそれなりに楽しそうにしていたので、かなり落差がある。
「ドルギアは私にとって、可愛い弟です。あの子の良い所は、やはりなんとも言ってもその優しさでしょうかね」
「優しい……まあ、優しくはありますか。いや、でも……」
「そういった点において、イルティナ嬢とはお似合いですね」
「そんなことはありません」
ティルリアの言葉に、エルメラ嬢は首を振った。
強い否定の言葉だ。ドルギアのことをまったく認めていないといった感じである。そもそも二人の婚約は、彼女がもたらしたものだというのに。
そんなエルメラ嬢に対して、ティルリアは笑う。まったく持って、気にしていないといった感じだ。そういう図太い所は、この妹の長所といえるかもしれない。
「おや、エルメラ嬢はドルギアのことがお嫌いですか?」
「ええ、嫌いですね」
「ふふ、私はイルティナ嬢のことは好きですよ?」
「それは当然ですね。お姉様のことを好きにならない人なんていませんから。いたとしたら見る目がないだけです」
「素敵な人ですからね、イルティナ嬢は。とても温かな人だと思います」
「はい、お姉様程素敵な人はいませんね」
ティルリアがイルティナ嬢のことを褒め讃えると、エルメラ嬢は笑顔を取り戻した。
彼女のことは、中々に難しい人であると思っていたが、そうでもないのかもしれない。
思った以上にこの天才は単純だった。それは驚きべきことである。