優秀な妹と婚約したら全て上手くいくのではなかったのですか?
72.萎縮する妹
孤児院への来訪の主体は、エルメラである。
私が懇意にさせてもらっているシスターアンジェレネさんからお願いされたのだ。王国でも屈指の実力を持つ魔法使いエルメラに、是非来て欲しいと。
孤児の中には魔法使いに憧れている子もいる。今回はそういった子達に、エルメラが指導する予定だ。
「さて、皆さんこんにちは」
「こんにちは!」
エルメラが挨拶をすると、子供達は大きな声で返事を返した。
それに対して、私の妹はゆっくりと目をそらしている。なんというか、萎縮しているといった感じだ。
彼女がそのような反応をするなんて、とても珍しい。最強の魔法使いの弱点は、子供だったということだろうか。
「えっと、まあ、私がエルメラです、ね……ええ、一応この国――いえ、世界で最も偉大な魔法使いといっても過言ではないでしょう」
エルメラは自信があるのだかないのだかよくわからない感じで、言葉を口にしていた。
子供の前でどうしていいかわからないが、自身の力には自信を持っているので、特に謙遜などはしない。それは非常にエルメラらしい考え方だといえるだろう。
子供達は、そんなエルメラの言葉に羨望の眼差しを向けている。純粋な子供達には、エルメラの自信満々な所は、良い風に受け止められているらしい。
「ええ、私はそちらにいるイルティナの妹です。彼女のことは、皆さんもよく知っているかと思いますが……」
「イルティナ様には、いつもお世話になっています」
「すごく優しい方です」
エルメラの言葉に、子供達は返答をし始めた。
恐らく、シスターなどが言っていた言葉を真似しているのだろう。少し喋り方がたどたどしい。
ただやはり、子供達から褒められるというのは嬉しいものだ。思わず笑みが零れてしまう。
「なるほど、あなた達もイルティナお姉様のことはよくわかっているようですね? お姉様はとても優しく寛大で、それでいて冷静さも兼ね備えています。正に淑女の理想といいますが、誰もが規範とするべき人です」
子供達の言葉を受けて、エルメラが私のことを称賛してくれた。
それは恐らく、子供達に合わせているのだろうが、流石に褒め過ぎだ。なんというか、顔が赤くなってしまう。
というか、子供達には理解できないような言葉が入っているような気がする。事実として、皆きょとんとしているし。
「そういった人の元で暮らしていたからこそ、私は偉大な魔法使いになれたといえるでしょう。そういう意味では、皆さんもそうなれる可能性が高いのかもしれませんね?」
やはり子供の相手は、慣れていないということだろうか。
エルメラは未だに私のことを述べていた。子供達の興味は、もうそちらに向いていないというのに。
これはそろそろ、私が介入するべきだろうか。このままではエルメラは、いつまでも私のことを話していそうだ。
私が懇意にさせてもらっているシスターアンジェレネさんからお願いされたのだ。王国でも屈指の実力を持つ魔法使いエルメラに、是非来て欲しいと。
孤児の中には魔法使いに憧れている子もいる。今回はそういった子達に、エルメラが指導する予定だ。
「さて、皆さんこんにちは」
「こんにちは!」
エルメラが挨拶をすると、子供達は大きな声で返事を返した。
それに対して、私の妹はゆっくりと目をそらしている。なんというか、萎縮しているといった感じだ。
彼女がそのような反応をするなんて、とても珍しい。最強の魔法使いの弱点は、子供だったということだろうか。
「えっと、まあ、私がエルメラです、ね……ええ、一応この国――いえ、世界で最も偉大な魔法使いといっても過言ではないでしょう」
エルメラは自信があるのだかないのだかよくわからない感じで、言葉を口にしていた。
子供の前でどうしていいかわからないが、自身の力には自信を持っているので、特に謙遜などはしない。それは非常にエルメラらしい考え方だといえるだろう。
子供達は、そんなエルメラの言葉に羨望の眼差しを向けている。純粋な子供達には、エルメラの自信満々な所は、良い風に受け止められているらしい。
「ええ、私はそちらにいるイルティナの妹です。彼女のことは、皆さんもよく知っているかと思いますが……」
「イルティナ様には、いつもお世話になっています」
「すごく優しい方です」
エルメラの言葉に、子供達は返答をし始めた。
恐らく、シスターなどが言っていた言葉を真似しているのだろう。少し喋り方がたどたどしい。
ただやはり、子供達から褒められるというのは嬉しいものだ。思わず笑みが零れてしまう。
「なるほど、あなた達もイルティナお姉様のことはよくわかっているようですね? お姉様はとても優しく寛大で、それでいて冷静さも兼ね備えています。正に淑女の理想といいますが、誰もが規範とするべき人です」
子供達の言葉を受けて、エルメラが私のことを称賛してくれた。
それは恐らく、子供達に合わせているのだろうが、流石に褒め過ぎだ。なんというか、顔が赤くなってしまう。
というか、子供達には理解できないような言葉が入っているような気がする。事実として、皆きょとんとしているし。
「そういった人の元で暮らしていたからこそ、私は偉大な魔法使いになれたといえるでしょう。そういう意味では、皆さんもそうなれる可能性が高いのかもしれませんね?」
やはり子供の相手は、慣れていないということだろうか。
エルメラは未だに私のことを述べていた。子供達の興味は、もうそちらに向いていないというのに。
これはそろそろ、私が介入するべきだろうか。このままではエルメラは、いつまでも私のことを話していそうだ。