皇太子に溺愛された商人

結婚相手

夢を見た。

まだ両親が生きている夢。

― 美玉。これはね、髪に飾る物なんだよ -

ー これを? 何で? -

ー 美玉も、大人になったら分かるよ -


目が覚めたら、枕が濡れていた。

「うーん。」

背伸びをして、起き上がった。

「今日は、たくさんお客さんが来てくれるかな。」

身支度を整えて、お母さんが使っていたかんざしを、髪に飾った。

「よし!今日も頑張ろう!」

今日はいい事が起きそうな気がする。

私はそんな予感を抱きながら、店を開けた。


「いらっしゃいませ!」

私が売っているのは、髪を飾るかんざしだ。

女性はもちろん、男性だって買っていく。

それが商売ってものだ。
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