皇太子に溺愛された商人
「もしかして美玉。小龍と結婚の約束をしてないだろうな。」

「してないよ。小龍は小龍だよ。」

小さい頃から一緒にいる小龍を、そんな風な目で見た事はない。

「ならいいんだ。」

叔父さんは、自分の横に私を座らせた。

「いやな。おまえに結婚話を持って来たんだ。」

「結婚話⁉」

急にその話?

でもなぜか、私の胸はドキドキしていた。

「この近くに、大きな反物屋があるだろう。」

「うん、ある。」

「そこの次男坊がまだ嫁を貰っていなくてな。誰かいい人がいたら、紹介してくれと頼まれたんだ。」

反物屋の次男坊?

あそこには、男は一人だったと思ったけれどな。

「まあ、後で見に来させるよ。気に入られるといいな。」
< 5 / 10 >

この作品をシェア

pagetop