皇太子に溺愛された商人
叔父さんはニヤニヤしながら、帰って行った。

「気に入られるか……」

私は空を見上げた。


しばらくして、知らない男が店にやって来た。

「美玉って言うのは、おまえさんかな。」

「はい。そうですけど。」

「俊炎と言う。宜しくな。」

差し出された手には、蛸があった。

「えっと、お兄さんは何の用?」

「ああ、結婚相手の顔を見に来た。」


そうか。この人が叔父さんが言っている、反物屋の次男坊か。

「なんで今まで結婚しなかったの?」

「ん?相手がいなかったからさ。」

「相手?」

「運命の相手ね。」

その時、私と俊炎さんの間に、スーッと風が通った。

「私はその運命の相手になる?」
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