皇太子に溺愛された商人
「うん。」

俊炎は、私の頭をポンポンと叩くと、家に帰って行った。


結婚相手か。

何だか、ピンとこない。


「さっきの男、誰?」

小龍が、いつの間にか隣に立っていた。

「結婚相手。」

「えっ⁉」

小龍は驚き過ぎて、咽ている。

「急に?」

「うん、急に決まった。」

でも、心が追い付かない。

本当に結婚してもいいのか、誰かに聞きたい。

「本当に結婚するの?」

「分かんない。」

「何だ、それ。」

小龍は、私を馬鹿にするような目で見た。

「気が進まないなら、結婚するなよ。」

「でも、叔父さんの紹介だし。」

「断れよ!」

小龍が怒るところ、初めて見た。

「好きでもないのに、結婚してどうするんだよ!しっかりしろよ!」
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