社長とは恋愛しません!
柚季君は、私に触れる事を我慢してくれている。

目的は、身体じゃないって、私に伝える為に。

今までそんなに想われた事なんてない。


部屋に着くと、昨日脱ぎ捨てた服が、置いてあった。

それを一枚一枚、また着て行く。

この服を脱いだ時、私は確かに、彼に欲情していた。

柚季君に抱かれてもいいと思った。

その気持ちは、確かなモノだ。


うん。折り合いを見て、柚季君に伝えよう。

私も、柚季君を好きだって。

付き合ってほしい、恋人になって欲しいって。

その瞬間、胸がチクッとなった。

恋人……

もし、柚季君と付き合っても、今度はダメにならないよね。

でも、もし。

会社がまたダメになったら、私は……


「景子さん、まだ?」

私はハッとした。

「うん。今行く!」

急いで部屋を出て、階段を降りた。

既に柚季君は着替えていて、車のキーを持っている。

「ごめんなさい。遅くなって。」

「いいよ。さあ、乗って。」
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