社長とは恋愛しません!
そう言うと柚季君は、私を連れて車に乗った。

「少し飛ばすから、シートベルト着けて。」

「あっ、うん。」

私がシートベルトをすると、車は動き出した。

来た時よりも、スピードが速い。

それに、私の家の方じゃなくて、元来た道を戻っている。

「ねえ、どこに向かっているの?」

「どこって、俺の家だよ。」

「何で?」

柚季君は、黙ってしまった。

怒ると、無言になるのかな。

私何か、怒らせるような事、した?


私も何も言えなくなって、スピードを上げる柚季君に従うしかなかった。

車は、いつの間にか住宅街になって、さすがに柚季君はスピードを落とした。

「あいつとは、何年くらい付き合っていたの?」

「えっ……3年くらい。」

「結婚の話も出てた?」

「……うん。少しなら。」

その会話の後、また柚季君は黙ってしまった。
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