社長とは恋愛しません!
カーテンが動いて、私はハッとした。

「どう?」

ワンピース姿を見せて、私は作り笑いをした。

「いいね。似合っている。」

私はうんと頷いて、これを包んで貰うように、店員さんに言った。


試着室を出ると、柚季君がカードを出していた。

「待って。」

その腕を、手を伸ばして止めた。

「自分の服くらい、自分で買うよ。」

すると柚季君は、はぁーっとため息をついた。

そして耳元で、そっと呟いた。

「好きな人の服まで買わせないような男に、俺をさせる気?」

ドキッとした。

反則だ。こんな時に、好きな人ってワードを出すなんて。

「景子さんを着飾る物全部、俺が金を出してあげたいんだよ。」

「それは……」

一種の贅沢と言うモノではないでしょうか。

「いいから、大人しくしていて。」

そう言われて、柚季君がカードで支払うのを見ていた。

「彼女さん。羨ましいわね。」

店員さんは、すっかり私達が恋人同士だと勘違いしている。
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