社長とは恋愛しません!
車に乗って、私は外の世界を見ていた。

柚季君を見ると、なんだか切なくなるから。


「どうしたの?景子さん。」

それを察知したのか、柚季君は私の顔を覗きこんだ。

「さっきの店員さん。私達の事、恋人同士だって思っていたね。」

「そうだね。」

サラッと受け流すところ、余計に切なくなる。

「私達、付き合っているのかな。」

思い切って、口に出してみた。

「景子さんは、付き合ってもいない人に抱かれたりするの?」

私は、柚季君の方を向いた。

そこには、うつむいている彼がいた。


「そりゃあ、30も過ぎれば、一度の過ちくらいあるわよ。」

「じゃあ、俺との事も、一度の過ちなんだ。」

お互い、無表情で見つめ合った。

「そうじゃないって、好きだって言ったと思う。」

「俺も、景子さんの事、好きだって言った。」

そんな押し問答したい訳じゃない。

「柚季君は、私の事彼女にしたい?」


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