社長とは恋愛しません!
「社長。」

ドスのきいた声で、柚季君を呼ぶ。

何かを察した柚季君は、目を瞑ると、静かに言った。

「花音。すまないが、本気で彼女と付き合っているんだ。」

「柚季……」

そして柚季君は、私をスーッと見つめる。

その目に、吸い込まれそうだ。


こんなに綺麗な女優さんを前にしても、私を見つめてくれるなんて。

柚季君、優しいよ。


「分かったわ。一旦、退く。」

柚季君と私で、一緒にほっとした。

「でもこれで終わったと思わないで。」

捨てセリフを吐いて、花音ちゃんは社長室を出て行った。

「ふぅー。」

柚季君は、一気に疲れたみたいだ。


「社長。」

ちょっと浮かれてもいいよね。

「さっきは、ありがとうございました。」
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