社長とは恋愛しません!
「花音。この際、はっきり言うけれど。」

「柚季?」

「この先、俺が結婚を考えるのなら、相手は景子さんだと思っている。」

その途端、バチンッと大きな音がした。

花音ちゃんが、柚季君を叩いたのだ。


「柚季君?」

私は階段を2,3段降りた。

そこで、柚季君と目が合う。

柚季君は、こっちを見ながら、首を横に振った。

来なくてもいいという合図だ。


「どうして。どうして、景子ちゃんなのよ。」

「どうしてって言われてもな。出会うべくして、出会ってしまったから。」

花音ちゃんは泣いている。

「私達も、出会うべくして、出会ったじゃない。」

「親の思惑でな。」

そうか。花音ちゃんのご両親と、柚季君のご両親、知り合いだったんだ。

「俺は少なくても、花音と結婚すると思った事はないよ。」

そう言うと花音ちゃんは、泣きながら立ち上がった。

「こんな時間に、女一人泣きながら歩くのも、変だろう。車で送るよ。」

柚季君はそう言うと、階段を昇って来た。
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