社長とは恋愛しません!
「あーあ。ここでも、イチャイチャしてんだ。」

振り返ると、英寿さんがいた。

何、ここまで追って来たの?


「何ですか?」

柚季君が、私の前に立ってくれる。

「いや、俺も女と屋上に来たんだけど、振られちまってさ。」

英寿さんは、小さくため息をついた。

「なあ、真田社長。しばらく、景子と二人きりにしてくれないか。」

私と柚季君は、お互いの顔を見合わせた。

「少しでいいからさ。」

柚季君は、首を縦に振らなかったけれど、私は覚悟を決めた。

「柚季君、私も英寿さんと二人きりで少し話したい。」

「景子さん。」

「ね、お願い。」

柚季君は、無表情で離れてくれた。

「何かあったら、直ぐ呼んで。」

「うん。」

そして柚季君の代わりに、英寿さんが私の側にやってきた。

英寿さんは、私の顔を見ると、うんうんと頷いている。
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