社長とは恋愛しません!
遠くで、柚季君が驚いている。

でも、今は許して。

「私への暴言、全部許してあげる。」

「本当か。」

「本当よ。私、根に持つタイプじゃないし。それに……」

私は、英寿さんの顔を見た。

「一度は、愛し合った仲だしね。」

すると今度は、英寿さんが私を抱きしめた。


「相変わらず、いい女だな。」

「ありがとう。」

この瞬間が、一番分かり合えた時なんて、皮肉なものだ。

でも、暗かった思い出が、また光りだす。

思い出せば、辛い記憶だけじゃなかった。

二人で、笑い合って楽しい時もあった。

英寿さんの辛い時を一緒に過ごせなかったのは、私のせいでもある。

英寿さんに、”一緒なら乗り越えられる”って、思って貰えなかったんだから。


「さっきの振られた女性には、謝りにいかなくていいの?」

「ああ。おまえのいい女っぷりを見せられたら、他の女なんてカスにしか見えん。」

「ははは。」

流石は英寿さん。口が上手い。

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