社長とは恋愛しません!
そして私達は、離れた。

「さて、そろそろあいつが怒りだす前に、退散するか。」

向こうで、柚季君が睨みをきかせている。

「じゃあね。」

「ああ、元気で。」

そして英寿さんは、背中を向けた。

「あっ、でも真田社長と別れたら、言って。」

「何、寄りを戻す気はないわよ。」

足をガクッとさせた英寿さんは、背中で”分かってるよ”と言っているみたいだった。


英寿さんを見送っていると、いつの間にか柚季君が隣にいた。

「あいつ、油断した隙に景子さんを抱きしめおって。」

「私から抱きしめたんだから、許して。」

すると柚季君が、私を抱き寄せた。

「景子さんを抱きしめていいのは、俺だけだ。」

「そうね。ごめん。」

この瞬間が、幸せで嬉しい。


私はこの日、過去と決別したんだ。

そして、今からは柚季君との時間に、向き合っていきたい。

そんな風に思う、パーティーの夜だった。

< 160 / 295 >

この作品をシェア

pagetop